ジョンレノンを愛する自衛官の父・哲郎が海外赴任中、母ちゃんは空き巣に殺された。

それ以来、尾崎豊を愛する兄・哲太郎は一人家を出て、なぜか丹頂鶴の保護活動を始める。
シャ乱Qを愛する弟・哲次郎は、母を忘れるようにギターを掻き鳴らした。

そんなある日、哲太郎は湿原で月影千鶴子と名乗る女を拾う。
亡くなった母によく似た姿で発見された女との出会いは三人の男たちの運命を少しずつ変えていく。

復讐に燃え、母を殺した犯人を追い求めながらも、鶴にしか愛をそそげない男、哲太郎。
失くした家族の肖像を追いかけるように音楽に打ち込むも空回る弟、哲次郎の思いは届くのか。
そして父、哲郎の隠された10年間。妻を失い、家族を見失い、彼が過ごした10年間は、残された子供たちに何を伝えるものなのか。
愛する女を失くした三人の男達が、バカらしくも愛おしい暴走の果て。釧路湿原の大空に力一杯羽ばたく物語。

2011年冬、劇団鹿殺し渾身の音楽劇。

 2010年は活動10周年を記念して劇団鹿殺しの魅力を初めて観る皆さんにしっかり届けられるようにと音楽や、パフォーマンスなどいろいろな面をもりもりに盛り込んだ作品をやってきました。
 2011年、活動11年目がスタートする今作品は次の20周年に向けての第一歩を見てもらえるような作品にしたいと思います。10年かけて培った鹿殺しの舞台表現の中でも、次の10年にもっていきたいものを携えて。
 次の目標は、圧倒的に「劇場を楽しめる劇団」であること。劇場に足を運ぶ喜びとかわくわくを与えられる無二の存在になりたいなと思います。
 「僕を愛ちて。〜燃える湿原と音楽〜」はその名の通り、愛を求める人間たちの物語。
 10年たっても劇団鹿殺しは相変わらず日夜、愛を求め続けています。求めても求めても足りない愛に地団太を踏む姿は、劇団や劇団員個人としての姿そのものでもあるので、苦しくなるような作品ではあると思いますが、そこは新春公演ですからね、パアッとおめでたいものをお届けしたいと思います。
 お正月もあけて15日からの10日間。初詣気分で訪れてください。「イヨッ!」て言いたくなるような元気の良いお芝居、お届けします。寒い季節はそういうの、観たいのですもん。