Story
タブレットの向こうには、
Youtubeよりも面白い
「宮殿の森」が広がっている。
もしくは、
僕たちに大切なことを教えてくれる
「クマのプー」と、
僕たちが育ててしまった
「アクマのゾゾ」の物語。
東京都世田谷区給田。
世田谷区と調布市の境にあり、京王線「千歳烏山駅」と「仙川駅」の間にある「何もない」平野である。
バス通りの脇に広がる住宅街に、小さな家「栗栖家」は建つ。
僕、魯瓶(ろびん)と弟、日暮(ひぐれ)、父の伊予(いよ)と母の実瑠(みるん)の4人暮らし。
父は朝から晩まで働きノイローゼ、母はワンオペで小学1年生の僕と保育園に通う日暮を育てている。
学校の先生が言うには、僕は「もうそうへき」があり、「グレー」らしい。
1番の友達は、家族で北海道へ旅行した時に買ってもらった木彫りの熊(鮭を咥えてる!)。
タブレットの向こうには、Youtubeなんかよりも面白い「宮殿の森」が広がっていて、
今日もクマのプーがハチミツを舐めながら僕を待っている。