メッセージ


 関学の図書館でつかこうへいさんの「熱海殺人事件」を見つけたところから始まった劇団鹿殺し。旗揚げ公演は内緒で学内の会議室を借りて、楽屋はベランダ。1月で無茶苦茶寒くて体中にカイロを貼ってスタンバイしていたので異様に着膨れしていました。
 蛍光灯の照明はお客さんの背中でスイッチ押されて、あらぬところで暗転。
 音響はMDウォークマン。曲を送るたびに「ピッ」と電子音。
 次はもうちょっと上手くやれる気がする、というだけで10年が経ちました。

 10年経てば出来るだろうと思っていたことも、出来ないままでいることのほうが多いです。
 でもやっぱり次はもうちょっと上手くやれる気がする。

 10年前のメンバーで残っているのは3人だけ。(というより、旗揚げ当初は毎公演ごとにほぼ解散状態でした。)
 出会いと別れを繰り返すのも気力体力がいるものです。
 この10年は残り続けた自分達を励ますために作品を作り続けてきたような気がします。
 前回の「スーパースター」、そして今回の「電車は血で走る」は鹿殺しの2大応援歌劇といえるものです。特に半ドキュメンタリーと言えるほどに劇団の歴史を投影した作品「電車は血で走る」は、初演当時疲れきっていた自分達を励ますためにどうしても必要な作品として生まれたものでした。そこに描かれた未来にむかったストーリーは、愚痴っぽいドキュメンタリーを超えて、私達の背中を押す不思議な力となりました。稽古を半分過ぎたときに当時のキャストが「これ、賞取れると思うで。」と言ってくれたのが今でも忘れられません。賞は取れなかったけど、ものすごく特別な作品になりました。
 自分の見たいお芝居を作ることだけをたよりに10年を過ごした鹿殺しの、10年分の姿が詰まった作品です。
 いつもよりちょっと長くやるのでぜひ観に来てください。
 10年くらいでは到底馬鹿は治らないんだなあと笑いにきてください。
 私達の見たいお芝居を上演しております。
 私達が見ると、悔しくって元気がでるお芝居を上演しております。
 習い事ひとつ始めたくなるような、そういう作品をこれからも作り続けていきたいです。

 【追伸】劇団鹿殺しはもちろん鹿を殺したりしませんし、誰も殺したりしません。裸の人が奇声を上げて客席に襲い掛かるようなことも無いです。念のため。初めての方、どうぞ怖がらずに観に来てください。

演出──菜月チョビ

古田新太(劇団☆新感線)

 「元気があってよろしい」これが、「鹿殺し」のライブを初めて見たおいらの感想だ。笑えない落語のような、ちょっといい話が跋扈する最近の演劇界、おいらは劇場に日常や等身大なんて求めていない!劇場は、晴れの場所。普通の奴らは、家で○ンズリかいてろ。おいらが見たいのは、キ○チガイだ。愉快な人たちが見たいのだ。今や大ブレークした某「ハイレグ」も、某「魂」も、初めて見た時、大爆笑した。なぜなら奴らは「元気」だったからだ。こじんまりとまとめるのは賞狙いの作家達にふっておけ。「元気」な奴らこそ、舞台の花だ。そして「鹿殺し」だ。「元気があってよろしかった」のだ。この間はライブハウスだった。今度は劇場に見に行くぞ。みんなも早めに見といた方がいいぞ。

【第十五回公演「僕を愛ちて。」推薦コメントより】

松本雄吉(維新派)

 鹿殺しの舞台にはゆるやかな方言が基調音として流れ、それが彼らの作り出す世界を立体的にしている。どの地方といった特定できない方言は彼らの舞台にアジア的な広がりをもたせ、ほぼ全裸に近い身なりでオートバイに乗る男はこの国の古代へエンジンを唸らせているし、双子のロック兄弟のギャグは死者の世界からのメッセージに聞こえてくる。エロ、グロ、ナンセンスの見事な集団技は言うに及ばず、そのゆるやかな方言の語り口は超立体的な現代神話の可能性を予感させる。

【第十二回公演「百千万」推薦コメントより】

小堀裕之(2丁拳銃)

 僕の好きなエンターテイメントに生きる人というのは自分の可能性の限界に挑戦していてちゃんとそこに存在しそれでいてそこに殺伐とした空気があるのではなく恥ずかしいくらいの愛のオーラを感じれる人です。「鹿殺し」 僕が好きな劇団です。

【第十九回公演「ベルゼブブ兄弟」推薦コメントより】

鳥肌実

――劇団鹿殺しを観て
○○学会批判はさておきまして、鹿殺しを初めて観た感想は、一言で申し上げてまずい!が、それでいて非常に栄養になる青汁のような要するに青臭いんだが、その青臭さが堪らずもう一度舐めたくなるまるで処女のマ○コのような……
おぼろげな冗談はさておきまして、この度の公演「ベルゼブブ兄弟」は、家族というのが一つのテーマとなっておりまして私と致しましては、すでに家族から絶縁状を叩きつけられ、戸籍上から外されてしまった立場上もう何も申す事はないわけでございますが、
やはり、この作品を観てつくづく感じた事は家族というのは、うっとうしいなー、わずらわしいなー、しかし、必要なんだなーと。
公演終了後、直ちに実家に電話をしたところ、「おかけになった電話番号は現在使われておりません。」と母親に言われた瞬間、一気に沸点に達した私はタミフル15錠を服用し酩酊状態で帰宅したわけでございます。
その日の夜、今日の芝居はいったい何が伝えたかったんだろうと冷静になって考えてみたところ、ハッと致しまして、結局伝えたい事は何も無かったんだという事に気づいた時、私は劇団鹿殺しへの入団を決意致しました。

【第十九回公演「ベルゼブブ兄弟」観劇後コメントより】

坂井真紀

 あの古田新太センパイに「鹿殺しイイぞ。」と奨められ只今夢中。鹿殺しTシャツも購入して着ています。(“鹿殺し”と書いてあるので「そのTシャツ、なんか怖い。」と時々言われます。)ああ、あの時代に生まれていたら、あのライブを見れたのにー!なんて思う時あるじゃないですか。だから、この時代に生まれて、鹿殺しが見れてよかった!って思うのです。つまり、絶対見逃せない!って気持ちになるのです、「劇団鹿殺し」って。

【「百千万2008改訂版」推薦コメントより】

岩崎正裕(劇団太陽族)

 「鹿殺しの演劇は強い」フツウの演劇は弱い。携帯のバイブ音は他のお客様の迷惑になり、就学前の幼児のぐずり声は緻密なドラマツルギーとやらを破壊する。鹿殺しの演劇は、そんなことに煩わされてたまるかの気概に満ちている。路上パフォーマンスで鍛えられたこの連中は、無関心の衣をまとった社会に肉弾戦を挑むのだ。関西から東京に拠点を移し、共同生活を営み、全国ライブハウスツアーを断行する「劇団鹿殺し」は、自らの存在を現代における神話に押し上げようと決起する。こいつら、世界一周ツアーだってやりかねない。いや、やって欲しいな。フツウの演劇を脱皮しない僕は、勝手にそう祈る。

【第十五回公演「僕を愛ちて。」推薦コメントより】

伊賀大介(スタイリスト)

 「鹿殺しとは何か」と考える自体がアホくさい。定義するのがしゃらくさい。 「どーゆー感じの劇団?」なんて野暮も極まっちまってコッチがひっくり返っちまう。考えないで感じて、感じたら走り出す、走り出したら止まれない。どうか劇団鹿殺しの皆さんにはブッチギりでアサッテの方へ走り抜けて頂きたい。根拠はないが、きっと大丈夫だ。

【「百千万2008改訂版」推薦コメントより】

日野淳(幻冬舎「パピルス」編集長)

 元気だとか本気だとか言うことが、褒め言葉として受け取られにくい世の中ですが..「劇団鹿殺し」は元気です。本気です。彼らが放つエネルギーみたいなものに直に触れられるだけで、僕には大きな喜び。そしてその喜びの中で思うのは、元気で本気な人たちにしか語る事が許されない夢があるということなのです。

【「百千万2008改訂版」推薦コメントより】

小林靖弘(シアターガイド編集長)

 「劇団員総出で東京に出てきました!」編集部を訪れたチョビンさんと丸尾丸さんから開口一番出てきた言葉に、内心ちょっとひいた。「バイトはしません。公演と路上パフォーマンスで食っていきます」そう聞いて、表情に出ちゃったくらいひいた。でも、東京に賭ける思いとQUEENについて目を輝かして語る彼らに熱気に「ガツンと殴られ」、前作『百千万』を観に行き「ギュっと抱きしめられ」て……今や劇団携帯サイト「手のり鹿」をチェックする日々です。

【第十三回公演「エデンの穴」推薦コメントより】

水野美紀

 私は鹿殺しが大好きです。「鹿殺し」という恐ろしげな名前とは程遠い、シャイでラブリーな人たちが、エネルギッシュで、毒があって、ケレン味があって、オリジナリティーがあって、愛のあるパフォーマンスを繰り広げます。勢いあります。鹿を殺さんばかりに。だけど繊細です。鹿を寝かさんばかりに。ずっと応援してます。

【第十九回公演「ベルゼブブ兄弟」推薦コメントより】

篠井英介

 歌舞伎や能を共に見に行く友人や日舞の師匠に私がひそかに通う『鹿殺し』をどう説明したら良いかわかりません。見せてしまった方が早いのですが、勇気がわきません。早くしなければ!決断!いざ、いざ『鹿殺し』へ!

【第十九回公演「ベルゼブブ兄弟」観劇後コメントより】

高橋章良(「大改造!劇的ビフォーアフター」総合演出)

 劇団鹿殺し……なんちゅう名前や。これまた劇団名にふさわしい(?)一種独特な世界観の広がるアングラな舞台。日々、家のリフォームに明け暮れる私の頭の中から今抱えている20件近い現場の事を一瞬のうちに忘れさせてくれました。過去と現在が錯綜するスピード感一杯の展開は勿論、それよりも最も私の心を刺激したのは、紅一点、小さな体ながら座長を務めるという髭の子チョビンなる女の子。(中略)今や、テレビのバラエティー番組に欠かせない存在となった劇団系のタレントたち。どうやら近い将来、また一人私たちの仲間が増えそうです。

【第十二回公演「百千万」推薦コメントより】

本吉英人(TOKYO HEADLINE編集長)

 日本は広いな〜こんな奴らが関西にいたとは。関西からすんごい奴らがやってくる。その名も「劇団鹿殺し」。2000年の旗揚げ以来、「ガツンと殴って抱きしめる」をキャッチフレーズに、独自の「鹿殺しワールド」を展開してきた。2004 年11 月に上演した大阪拠点最終公演「百千万〜大阪編〜」では連日超満員の観客を集めた。9月に路上パフォーマンスを決行した際、お約束通りおまわりに持っていかれた渋谷…、ちなみに登場する男たちは全てブリーフにサスペンダーというと、引く人もいるだろう、色物扱いする人もいるだろう、生理的に受け付けないという人もいるだろう…。まあ無理には勧めないけど、はっきり言ってかっこいいです。そして面白いです、知ってて損は無いです。

【第十二回公演「百千万」推薦コメントより】